2万円台でスマホに映像配信できる遠隔ソーラーカメラシステム
以前ソーラーパネルと12Vバッテリーを電源にしたネットワークカメラシステムを製作しました。
前回の反省点として、単管パイプを多く使ったため重さとコストが増えてしまったことです。
試作ということで50Wのパネルを使いましたが、機器の電力消費量から逆算して30Wのパネルでも大丈夫そうだったので今回はパネルも小さくしてみました。
前回と同様にソーラーパネルとバッテリーを使用して遠方にあるカメラの映像をスマホで見ることが出来ます。
- 2万円台で遠方にあるカメラ映像をスマホで確認できるソーラーシステムを構築
- 畑や、駐車場、イベント会場などのWi-Fiがない場所でもOK (ドコモ網利用)
より安く、よりコンパクトにが今回のテーマです。
1万円以下に費用を抑えて似たような構成のシステムも作れますが、野外に設置するものなのでしっかり安定して長く使えるものを選びました。
よくあるかもしれない疑問
前記事との構成の違い
部品 | 前回 | 今回 |
---|---|---|
ソーラーパネル | 50W | 30W |
バッテリー | 12V12Ah | 同じ |
チャージコントローラー | 10A USBx2 | 同じ |
ネットワークカメラ | ATOM CAM 2 | ATOM CAM Swing |
モバイルルーター | Rakuten Pocket Wi-Fi | Rakuten mini |
SIMカード | プリペイドSIM | IIJmio ギガプラン eSIM |
ボックス | 収納ボックス | ウォルボックス |
費用 | 4万円台 | 2万円台 |
必要なものと費用
30Wソーラー + 12Vバッテリー
およそ26,699円
部品 | 製品名・個数 | 価格 |
---|---|---|
ソーラーパネル | RENOGY 30W | 4,900円 |
バッテリー | 12V12Ah | 4,100円 |
チャージコントローラー | RENOGY 10A USB出力 | 2,600円 |
ケーブル | 3.5SQ | 1,000円 |
ネットワークカメラ | ATOM CAM Swing | 4,280円 |
モバイルルーター (スマホ) | Rakuten mini | 2,300円 |
SIMカード (eSIM) | IIJmio ギガプラン eSIM 2GB | 440円 |
ウォルボックス | 日東 プラボックス P14-33A | 1,879円 |
リピート結束バンド | 300mm x 15本 | 100円 |
ソーラー固定木枠 | 30x24x1620mm L字アングル45mm x8 | 1,000円 800円 |
単管パイプ | 1.5m x2 | 1,900円 |
パイプストレートジョイント | x1 | 795円 |
タルキクランプ | x4 | 800円 |
お好みのオプション
部品 | 製品名・個数 | 価格 |
---|---|---|
単管パイプ土台 | x1 | 2,000円 |
単管パイプ補助 | 1m x3 | 1,950円 |
つる長 南京錠 | x1 | 791円 |
PF管 | 2m x1 コネクタx2 カップリング x2 | 350円 |
単管パイプキャップ | x4 | 140円 |
地面打ち込みキャップ | x3 | 600円 |
自在クランプ | x3 | 600円 |
より強固に固定したい場合はオプションで部品をつけてください。
組み立て
ソーラーパネル
RENOGY 30Wパネルの出力ケーブルにはMC4コネクタがついていないので、自分で取り付けましょう。ケーブルを直接チャージコントローラーへ直接接続してもオーケーですが、MC4コネクタを付けておくことで取り外しが楽になります。
左のケーブルが30Wパネルから伸びている無加工のケーブル、右がチャージコントローラー側のコネクタです。
剝いた線に金属端子をはめて圧着します。
はずれないようにしっかり圧着してください。
パッキンを忘れず入れてからナットとコネクターを付属のスパナでガコッと空回りするまで締めます。
あとは保護と水が侵入しないように自己融着テープを巻いておきました。
同様にケーブルを加工してチャージコントローラー側のコネクタを作ります。
これでソーラーパネル、チャージコントローラーの接続ができます。
チャージコントローラー
こちらの記事と同じ手順です。
12Vバッテリー
バッテリーに関しても、こちらの記事と接続方法は同じです。
ソーラーパネル土台枠
ソーラーパネルを単管パイプに取り付けるための台を作ります。既製品ではちょうどいいものがなかったので自作しました。
地域によりますが、ソーラーパネルの方角を真南、角度を30°にすると効率のいい発電ができます。
以下のように木材をカットしてパネルを固定したところ、約33°の角度になりました。
のこぎりで切るか、ホームセンターで切ってもらいましょう。
枠材:30 x 24mm x 1620mm
カットする長さ:300mm x2、170mm x2、270mm x2、140mm x1
接着は50mmの木ネジと木工ボンドです。見た目と防腐のためにウレタンニスを塗っておきました。
固定と角度調整用にそれぞれ2つずつ 45mmのアングルをM8蝶ネジとナットで取り付けます。
石井建設がオンライン販売している S-1 という金具を使えばソーラーパネルを単管パイプに直接固定できます。
単管パイプとS-1をパネルの枠に引っ掛けて、ボルトを締めるだけなので簡単でした。
パイプ同士は自在クランプで固定していますが結構頑丈です。
横向きのパイプの両端についているのがS-1金具
もっと早くS-1金具を知っていれば…!
単管パイプ土台
単管パイプにカメラと、ウォルボックス取り付けます。
ホームセンターで1.5mを2本とストレートジョイントを買ってきました。
がっちり固定したければ単管パイプ用のベースを、地中にしっかり埋め込むなら地面打ち込みキャップを使うといいかもしれません。どちらもホームセンターで購入できます。
穴を掘ってベースを埋めれば大丈夫そうでしたが、私が設置するところは周りが開けた土地なので、強風で倒れないようにベースと1mのパイプ3本を使って固定しました。
転倒すると危険なのでしっかり固定。
ソーラーパネルを設置する支柱を、ホームセンターに売っている一般的なコンクリートブロックに差し込んで40cmくらい埋めて土台にしても意外と頑丈でした。
沈下と抜け防止のためにパイプの先に固定ベースか短い単管をクランプでつけておきましょう。
ウォルボックス
濡れてはいけない機器をウォルボックス内に入れておきます。うっかり開けられないように南京錠をつけられるタイプがいいと思います。
- チャージコントローラー
- 12Vバッテリー
- Rakuten mini
単管パイプに直交タルキクランプを付けてその上に乗せるよう(固定はしない)にします。ウォルボックスの背面にはバンドを通す穴があるので、結束バンドを通してしっかり固定できます。
まずは、あまった木材でいいのでウォルボックス土台を作りましょう。横250mm x 縦100mm くらいに切断して、タルキクランプに固定します。真ん中あたりでボンドと短いビスで固定してボックス土台のできあがりです。
最終的にウォルボックスの背面はこんな感じになりました。
ウォルボックス真ん中の2つの結束バンドを単管パイプに巻きつけ、左右の結束バンドはソーラーパネルの土台枠下に巻きつけます。これでも結構安定しました。
単管パイプに取り付けるとこんな感じ。パネルの位置はパイプの下から1.2mくらいの高さにしました。
PF管(22mm)とコネクタはそれっぽく見えるので装着しましたがお好みで取り付けてください。
microUSBケーブルは本体付属の1.8mを使用。
正面からはこうなっています。揺らしてもガタガタしません。
プラボックス中のマス目の板は取り外せるので使いやすいようにカットしました。板の上にチャージコントローラーをビス止めして、横にスマホ(この写真はモバイルルーター)を両面テープで固定しています。
12V12Ahのバッテリーはギリギリのサイズで収まったのでずれないよう底面に両面テープで固定しました。
バッテリーターミナルにケーブルを接続して、ソーラーパネルのMC4コネクタを接続するとソーラーパネルから充電が開始されます。解体するときは、逆の手順でケーブルを外しましょう。
設定
モバイルルーター(スマホ)
Rakuten mini
- SIMカード
-
通話やデータ通信に必要な小さなカードで、スマホに挿入して使う。
- eSIM
-
物理カードが不要なダウンロード型SIMで、eSIMに対応しているスマホが必要。
前回はRakuten Pocket Wi-Fi を利用していましたが、今回は、Rakuten mini というミニスマホを使います。
モバイルルーターからスマホにしたのはRakuten miniではeSIMが利用できるからです。
楽天モバイルで無料で手に入った機種だよ。
Rakuten mini はコンパクトなのですがスマホとしては使いにくいので、フリマサイトやヤフオクで売りに出ている商品数も多いです。画面が割れた製品が安くておすすめです。雑に扱ってもあまり気になりません。
個人的にベストな状態
楽天モバイルの契約は不要です。SIMロックフリーなので各携帯会社の回線が利用できます。
テザリング の設定
Rakuten mini の設定「ネットワークとインターネット > アクセスポイントとテザリング > Wi-Fi アクセスポイント」から「アクセスポイントを自動でオフにする」のチェックを外し、加えてAP帯域幅は「2.4Ghz」にしておいてください。
アクセスポイント名やパスワードを任意のものを設定してください。
テザリングを起動時に自動でオンにするアプリをインストールします。
Google Play から入手できないので、配布されている Auto WiFi Tethering をダウンロード。
ダウンロードしたらファイルを開いてインストール。「システム設定の変更の許可」にチェック。
「Service activation」をタッチして「Wi-Fi Tethering」にチェックを入れる。
Android起動時にWi-Fi テザリングを有効にする。
ロックパスワードを設定しているとスマホが再起動した時に自動でアプリが起動しないので、パスコードをオフ(またはスワイプ)に変更しておきます。
これでテザリングの設定は完了です。
スマホを追跡
盗難にあった場合はAndroidスマホの機能を使って追跡することが可能です。
下準備としてRakuten mini 用の Google アカウントを作って、Rakuten mini 内でログインしておきます。
スマートフォンを探す へアクセスして最後の位置を確認できます。
過度な期待は禁物だけど気休めに。
畑に設置しているスマホに対してやってみたところ、ズレなく現在位置が表示されました。
Rakuten mini 補足
数ヶ月に1度くらいでスマホがフリーズしてしまうことがありました。スマホを再起動すれば直ります。
強制再起動:電源ボタンを12秒間長押し
IIJmio eSIM
IIJmio のeSIMのほうが安定して映像を視聴できそうなので、こちらに切り替えてみました。
Amazonで販売しているIIJmioの「エントリーパッケージ」を購入すると、初期費用の3,300円が無料になります。エントリーパッケージはセール時に50円で買えます。
別途一律でSIM発行手数料が税込220円で発生するので、初月費用は50円+220円+440円(ギガプラン2GB)= 710円 です。
パッケージは不要なので、ダウンロード版を購入しましょう。
購入後すぐに「エントリーコード」が記載されたメールが届きます。
IIJmio ギガプランはこちらから申し込めます!
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- 月税込み440円〜
細かな導入手順はこちらをご覧ください。
- 物理SIMカードより安い場合が多い
- 郵送不要ですぐ利用でき、再発行(有料)も早い
「My IIJmio」アプリで速度の切り替えが可能です。
My IIJmio
Internet Initiative Japan Inc.無料posted withアプリーチ
IIJmioの低速時は300kbpsなので快適ではないけどカメラ画像を確認することができるよ。ふだんのスマホに入れて使ってもいいと思う!
データ容量を節約したい場合は、My IIJmioアプリで高速データ通信スイッチをオフにしておいて、カメラの映像をリアルタイムで見たいときだけスイッチをオンにすることもできます。
ネットワークカメラ
前回は、ATOM CAM 2を使いましたが、今回はATOM CAM Swingにしました。
主な違いは、カメラの首振り(パン・チルト)と自動追尾、クルーズ機能です。映る範囲が固定でいい場合は ATOM CAM 2 にしましょう。
自動追尾後は元の位置に戻るよ。
ATOM CAM 2にはついていた設置用のマグネットが Swing にはありません。取り付けには別途マウントが必要です。
今回はタルキクランプと9mm厚の板に1/4インチネジ(15mm)を使って留めています。
おまけ
感電注意表示と、センサーライトをつけました。
注意書き
感電注意PDFを印刷してラミネート、マスキングテープで貼るだけです。
実際には触っても感電の危険はないけど、興味本位で触らないようにと防犯目的で貼ってみたよ。
センサーライト
夜間はぼんやりライトを点けておいて、センサーが反応すると明るく照らしてくれます。
防犯対策として正面と背後の2ヶつけると360°対応できます。
カメラカバー
濡れや紫外線を防ぐためにカメラ上部に100円の1mmプラ板(下敷き)をつけました。基本的にレンズは下を向いているので水滴が直接当たることが少なくなります。
降雨時のレンズのくもりによる反射がやや改善したかも。
USB端子接続部分に直接雨が当たらないようにする効果もあります。
それでも雨が降った後はこうなってしまいました。直接水滴がかからないようなカバーを設置すべきだと思います。
ソーラーカメラシステムの設置
実際に畑の角に置いてみました。
反対側から見るとこんな感じです。
土台はベースと3本の単管パイプで固定しています。
このままでもどっしりしていますが、さらに土を盛って頑丈にできます。
センサーライトをつけているので夜は常時点灯し、人が近づくとさらに明るく照らすようになってます。
ATOM CAM Swing の映像
こちらが実際の ATOM CAM Swing の画像。左が昼間、右が夜間に撮影されたものです。
実際にはフルHD画質で、十分実用的だね。
ATOM CAM 日中と夜間の映像
雨の日の画像
雨の日はこんな感じ。風も強く吹いていましたが大丈夫そうでした。
10秒程度の映像を録画してみました。最後の方はなぜか映像が固まっています。
通常の夜間撮影
赤外線をつけていないときの夜間撮影。センサーライトを常時照らしているのでこうなります。
まとめ
部品を精査すればもっと安くできると思いますが、このあたりの構成がバランスが取れているのかなと思いました。
Rakuten mini による eSIM テザリングもしっかり動作したため実用上問題ないことが確認できました。
ATOM CAM 2 から ATOM CAM Swing に変更したため、カメラの首振りも可能でより広い範囲を見渡せます。自動追尾をオンにしていると、虫やホコリに反応してレンズがあっちこっちに振り回されているところがなんだか面白く愛着も感じてしまいました。
このような製品を市販品で導入すると20〜30万円するのでだいぶ安くなったと思います。耐久性はともかくカメラでできることに変わりはありません。
機会があれば、ソーラーパネルがついたネットワークカメラと、モバイルルーター+ミニソーラーパネルで試してみたいですね。12Vバッテリー、チャージコントローラーすら不要になるのでさらにミニマムなシステムができます。ただクラウド保存が基本的に有料なのが気になるところ。ONVIF対応機種は少ないのでNAS保存もできません。